門坂 流・渡辺千尋 銅版画エングレーヴィング競作展
ー  代表作から新作まで ー

2007年10月1日(月)ー10月20日(土)
AM11:00〜PM7:00

□門坂 流+渡辺千尋 ギャラリー・トーク
10月14日(日)15:00〜17:00 (参加無料)


早朝の五竜岳(2007)/門坂流

風の遺跡(1979)/渡辺千尋

展覧会紹介

 門坂 流さんは1948年京都生まれ。東京町田市在住。20才半ば、鉛筆とペンで制作を開始。書籍の装丁や雑誌の挿絵などのグラフィックの仕事でドローイング作品を発表。30才後半、銅版画の線に惹かれ、エングレービングの技法を研究。1988、90年に作品集刊行。版画家そしてイラストレーターとして活躍して来ました。1999年には朝日新聞朝刊小説「百年の予言」(高樹のぶ子著)の挿絵を担当、翌年記念画集刊行(朝日新聞社刊)2001年にはオーストリアウィーンで作品展を開催しました。松明堂ギャラリーでの展覧会は2001年から4回目になります。

 渡辺千尋さんは1944年長崎生まれ。東京国分寺市在住。20歳のころより油彩、水彩、筆画などを始められ、30歳を過ぎた頃、銅版画のエングレーヴィング技法に出会い、版画作品を発表されます。画集、銅版画集などを刊行される一方、始めて執筆された「ざくろの空」では第一回蓮如賞(ノンフィクション文学賞1994年)を受賞され、その7年後には「マルチルの刻印」で第八回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞されました。松明堂では1996年から5回目になります。

 古くから、友人でもあり、ライバルでもある二人です。精力的な制作が始まっています。出品点数は、新作を含む自選代表作が、全体で約30〜40点を予定しています。日本でも(世界でも・・)屈指のエングレーヴィング作家の競作展。版画に興味のある人は勿論のこと、知らない人や若い方たちにも、こんな技法を使った優れた表現があることを、是非見に来ていただきたいと願っています。

 

 


花譜.カサブランカ(2007)/渡辺千尋

荒波(1993)/門坂流

門坂 流氏との出会い

 門坂氏の作品を初見したのは、イラストとしてのペン画でした。永久に交叉しない流れる線から生み出される宇宙の波動。イラストを超えた新しい世界観と、精緻な描写力には瞠目したものです。
 その後、風の噂に、氏がビュランを握っていると知った時、線描がもつ必然性だと感じ、我が無間地獄界へようこそ、と、多少のアイロニーを込めて祝福したのでした。
 出会いはすぐもやって来ました。銅版画の世界では、ビュランだけで作品を創り続ける作家は少なく、求める世界は異質であろうとも、お互い孤立無援の単独者、共感することが多く、今や良きライバルとなっています。
 今回の二人展では、ビュラン技法の対決になりますが、火花散る面白い場になればと願っています。 

渡辺千尋


折れた樹(1990)/門坂流


空の森(1987)/渡辺千尋

渡辺千尋氏との出会い

 渡辺氏との出会いは1989年の「現代ビュラン作家展」の時に来廊してくれ、少し話しただけで意気投合し、お互いの画集を交換する事から付き合いが始まりました。彼が送ってくれた画集はビュランによる銅版画集『象の風景』、私が送った画集はペン画集『風力の学派』でした。彼の画集を見ると、エングレーヴィングの硬質な強い線に対する熱情的な思い込みの深さを、幼年期の深層を捻り出した血の滲むイメージの表現に重ねているように感じました。
 私の場合は15年間続けていたペン画に技術的な限界を感じ、人に勧められて エングレーヴィングを始めました。それまで銅版画 を特別に意識した事はなかったのですが、元々線による素描が好きで絵の道に進む事になり、最初は硬質な鉛筆から始め、ペン画を中心に描き続けていたのですが、辿り着いた究極の技法がエングレーヴィングだったのです。
 同じ道具を使いながら対極的な表現の二人展はとても面白い企画だと思っています。

門坂 流


満開の桜(2005)/門坂流


線の繁み(1993)/渡辺千尋

作家紹介

 

門坂 流(かどさか・りゅう)

1948年京都に生まれる。1968年、東京芸術大学油絵科入学。1973年、鉛筆・ペン画で創作活動を始め、主に書籍の装幀や雑誌の挿絵などグラフィクの仕事において、ドローイング作品を発表する。1985年、この頃から銅版画による線の表現に惹かれ、エングレーヴィングの技法を研究。88年、ドローイング集『風力の学派』(ぎょうせい)刊行。1990年、『ビュランによる色彩銅版画集:水の光景』(ぎょうせい)刊行。1999年、朝日新聞朝刊「百年の預言」の挿絵を担当、翌年記念画集を朝日新聞社より発行。2006年、作品集『Ryu KADOSAKA Drawing Works』(不忍画廊) 刊行。国内、海外での個展多数。町田市立国際版画美術館、黒部市美術館、ADAFA-Cremona(イタリア)に収蔵。

渡辺千尋(わたなべ・ちひろ)

1944年長崎生まれ。油彩、水彩、エナメル、ペン画など、様々な技法での絵画研究発表し、1978年、銅版画を始める。1979年、日本版画協会奨励賞受賞。以降、内外で個展だけで作品発表を続ける。1989年「象の風景」シリーズ、チェコ国立版画美術館買い上げ収蔵。1994年、ノンフィクション著作「ざくろの空」で第1回蓮如賞受賞。1996年、島原有家町の依頼で400年前のキリシタン銅版画を復刻。2001年、キリシタン銅版画復刻記「マルチル(殉教)の刻印」で、小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。日本ペンクラブ会員。
画集:「反吐」「掌画集」「銅版画集・象の風景」(用美社)
著作:「ざくろの空・頓珍漢人形伝」(河出書房新社)「マルチル(殉教)の刻印」(小学館)

 

 

展覧会 会場風景(2007/10/19 Update)